M4カービンは米軍の現行小銃であり、原型は米軍で最も成功した旧制式小銃M16A2だ。我が国では陸上自衛隊のみが、M203グレネードランチャー、QDSS-NT4サイレンサーなどとセットで米国政府から購入し、特殊作戦群にて配備している。
ただし、2020年現在も防衛省/自衛隊ではM4カービンの配備を公式に一切認めていない。
ではなぜ購入と配備が公になったのか。実は自衛隊とM4カービンを取り巻く経緯は複雑だ。取り様によっては日本当局者の不祥事にすらつながりかねないのだ。
元・米軍将校であった飯柴智亮氏と自衛隊との関係
M4が日本の陸上自衛隊でも配備が明らかとなった根拠は元・米軍大尉であった飯柴智亮氏が輸出規制対象の銃用部品を日本に密輸出した疑いで起訴された件に関する「声明文」公表と、米国政府の公式資料である。
飯柴大尉の声明文 http://spikemilrev.com/news/2008/7/29-3.html
米陸軍大尉であった飯柴智亮氏は2005年、親しい自衛隊員から個人的に頼まれ、輸出に許可の必要な軍用光学照準器(EOTech 553)などを無許可で日本に輸出したため、これが密輸出にあたるとして起訴されたのだ。
飯柴氏にEOTech 553の輸出を頼んだ自衛隊員は『M4を新しく配備したので、同銃に取り付ける光学照準器が欲しい』と頼んだという。
後に親しくなった自衛官の一人から電話による連絡がありました。内容は『陸自内に新設された特殊作戦群が、新たに購入した米国コルト社製M4カービン小銃に取り付ける光学サイトの購入を検討、結果米国製EOTech 553が選ばれた。』というものでした。
出典 飯柴大尉の声明文 http://spikemilrev.com/news/2008/7/29-3.html
その後、2008年に飯柴氏はシアトル連邦地裁で起訴され、罪を認め、禁固1年と1日の実刑を言い渡された。
日系米軍大尉に禁固刑 日本に軍用品不正輸出
米国から日本に軍用品を不正に輸出したとして、密輸の共謀罪で訴追された日本出身
の米陸軍大尉、飯柴智亮被告(35)に、シアトル連邦地裁は7日、禁固1年と1日の
実刑を言い渡した。飯柴被告は不正の事実を認め、検察側と司法取引していた。飯柴被告は判決言い渡し前に「愚かな過ちを悔いている」と謝罪した。
ワシントン州フォートルイス陸軍基地の情報部門に所属していた飯柴被告は2006年
から今年2月にかけ、別の人物と共謀。銃器に付ける照準器60個などを許可なく日本に
輸出したとして7月に訴追された。検察側は、輸出先が日本の自衛隊関係者や防衛商社、友人だったと指摘していた。
飯柴被告は渡米後に米国籍を取得。1999年に陸軍に入隊し、アフガニスタンでタリバン
掃討作戦に参加した経験を基にした著書や、兵器の解説書を出版している。訴追を受け
情報部門から外された。
ただし、飯柴氏の「声明文」を自衛隊は否定している。
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