64式小銃(豊和工業)とは?長らく陸自の主力部隊に制式配備された銘銃だが現在は後方職種へ

長らく陸自の主力部隊に制式配備された64式。現在は後方職種へ

陸上自衛隊の主力部隊である普通科では近年、広い部隊で89式小銃が行き渡りましたが、64式小銃も後方職種や航空自衛隊基地警備隊/教導隊、海上自衛隊の陸警隊では現役です。航空自衛隊の一部の64式はフォアグリップを追加で取り付けて、近接戦闘向けに改良されていることも特筆に値するでしょう。

今でこそ、陸自特殊作戦群では米軍の標準カービンM4や、MP7、海自特警隊ではH&K HK416、さらに警察SATも使用するMP5を採用するなど、最新の銃を垣根無く取りいれる動きも活発ですが、64式は戦後半世紀にわたって今なお現役ですから、いい加減、引退させたげて……という一部の声もあります。

警察もかつてはSATの前身部隊であるSAPにて64式を配備しており、海上保安庁においては現在も主力小銃として配備が行われています。なお、自衛隊と警察の64式は童貞ですが、海上保安庁の配備する64式は工作船事件で実戦経験済みです。

製造メーカーは豊和工業

空・油圧機器、工作機械を製造している豊和工業では自衛隊の制式小銃である89式、64式のほか、警察SATも採用するM1500(民間向けの猟銃)、果ては迫撃砲も製造販売しています。かつてはM16の原型となったAR-18の単発オンリーモデルをライセンス生産して海外輸出していましたが、連射できるように改造されてIRAに使用されたため、製造中止になったという逸話があります。

この64式小銃には普通弾のほか徹甲弾、曳光弾なども用意されています。被覆鋼弾はフルメタルジャケット弾とも呼ばれる通常弾で、ハーグ陸戦条約に基づき「人体に不必要な苦痛を与えない」として、各国の軍隊が使用しています。ホローポイント弾に比べると体内で変形しないとされます。