航空救難団の任務と救難機

航空自衛隊に編成されている航空救難団は、救難ヘリUH-60J、救難および輸送ヘリCH-47、双発ジェット機U-125Aを配備する捜索救難専門部隊だ。

航空救難団では24時間の即応体制を敷いており、航空機や船舶の捜索、山岳救助、離島等から本土への救急患者搬送など、災害派遣要請に基づく出動要請を受けると、ただちに基地から発進、救難任務へ臨む。

航空救難団の配備する航空機。画像の出典 航空自衛隊公式サイト

過去、数多くの災害派遣で活躍してきた航空救難団だが、部隊の本来任務は戦闘時に墜落した自衛隊機乗員に対する救援である。

航空救難団の配備する機体は救難機であることから、これまで非武装であったが、現在では限定的ながら一部の機体にドアガンとしてミニミを搭載するなど、実戦下での活動を想定している。


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航空救難団に配備される航空機

現在、航空救難団ではヘリおよび固定翼機を配備する。通常のサーチ&レスキューミッションでは、この2機種がペアを組んで現場上空に飛来、任務を開始する。

保有装備1 U-125A

UH-60Jとペアで行動する捜索用小型双発ジェット機。まず先陣を切って救難現場に到着するのが、U-125Aである。

前機種のMU-2は老巧化したため、空自では後継機としてU-125Aを導入。

特殊な装備を搭載している捜索救難機U-125A

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U-125Aには両サイドに設けられた大型捜索窓、捜索レーダー、赤外線暗視装置など極めて高度な装備が満載で、旧配備のMU-2より捜索能力の大幅な向上が図られた。

救援物資を空中投下するデモンストレーションを実施するU-125A。最大820km/hの速度を活かし、遭難現場へ真っ先に到着すると、必要に応じて救命糧食などの救援物資を空中投下することで、UH-60Jヘリコプター到着まで被災者・要救助者の命をつなぐ。

sdf-0142照明弾、救命糧食、救命用品各種を海上に投下できる投下用ベイも装備。

sdf-0200こちらは陸自のLR-1。機関銃も搭載可能とし、対地攻撃機への転用も可能であった陸自唯一の固定翼機偵察機。航空自衛隊でも白と黄色の救難カラーで配備されていたが、すでに自衛隊からは全機が退役。

保有装備2 UH-60J&CH-47ヘリコプター

UH-60Jは陸海空の3自衛隊で運用されている多用途ヘリコプター。航空自衛隊では2008度時点で39機を取得。

今まで空自では黄色と白のツートンで運用されてきた同機も現在ではごらんのように実戦を意識した低視認(ロービジ)塗装として洋上迷彩が施されている。

UH-60Jは米国の全天候型救難専用ヘリコプターHH-60Aの航空自衛隊仕様。大型ヘリV-107の後継として導入され、赤外線暗視装置、気象レーダーや精密な慣性航法装置を搭載しており、悪天候でも航続距離が長くなり、遭難者の生存可能時間内に救助できる区域が広がり、ほぼ防空識別圏内をカバーできる。

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操縦席後部の側面に張り出した球面風防(バブルウインドウ)は、見張り員が捜索で使用。ほか、機外燃料タンクの装備により、捜索範囲が広がった。

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低視認(ロービジ)塗装として洋上迷彩に施した機体。海上において敵航空機が上から同機を見ると海の模様に溶け込む迷彩効果を狙ったものだ。

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さらに最近では、一部の機体に自衛用の5.56mm機関銃MINIMIをドアガンとして搭載するなど、本来の「コンバット・レスキュー」部隊への回帰を進めている。
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また、航空救難団ではCH-47輸送用大型ヘリコプターを配備しており、飛行場のない離島のレーダーサイト等への迅速な輸送に使われる一方で、救難事案発生時には救難活動にも従事する。

機首の気象レーダー。

航空救難団の救難員(メディック)とは

これら救難機に乗り込む救難員(メディック)もまた超人的な能力を持つことで知られており、3自衛隊でも一目置かれる存在だ。

救難員は救急救命士などの資格を持ち、要救助者に高度な救命措置を施す。UH-60Jヘリコプターに乗機、救難現場にヘリからロープで降下すると、すぐさま被災者の捜索と救助を開始する。

救難員養成課程は愛知県航空自衛隊小牧基地にある救難教育隊にて行われるが、やはり厳しい選抜基準が設けられている。

まず基礎的な体力基準として、腕立て伏せ46回以上、背筋110kg以上、腹筋45回以上、握力50kg以上となっているほか、50m走7.3秒以内、300m走62秒以内、1500m5分40秒以内の能力が必要だ。これだけでは終わらない。

救難現場は山岳のみではない。高い水泳能力を持つことも条件だ。平泳ぎで100mを2分20秒以内、クロールで100mを2分以内、横潜水25m以上などこちらも厳しい選抜基準が定められている。

ただし、これらはあくまで肉体的な選抜基準の一部にしかすぎない。

また、救難員は陸上自衛隊の空挺レンジャー課程を3か月間受ける。航空自衛隊員でありながら陸上自衛隊の精鋭部隊たる第1空挺団員が持つ空挺レンジャー資格を取得するのだ。

航空救難団まとめ

防衛省では2021年、これまで3自衛隊で受け持っていた自衛隊機の事故が起きた際の捜索・救助任務を部隊運用の効率化を目的に、航空救難団に統合すると発表した。

これまで海上自衛隊でもUH-60J による捜索や救難、患者搬送等を担ってきたが、今回の防衛省の決定により、海自鹿屋航空基地内の第22航空隊鹿屋航空分遣隊(約50人)が、2022年度末で廃止される方針だ。

https://373news.com/_news/storyid/142983/

 


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