自衛隊の配備する政府専用機、特別輸送隊の任務とは?

日本の政府専用機は航空自衛隊千歳基地に編成されている特別輸送隊にて運航されている。かつての機種はB-747であったが、平成31年4月1日より、B-777型機に機材が更新された。

政府専用機は主に総理大臣や天皇皇族方の海外公務のために運用されるほか、PKO活動など海外展開時には隊員輸送も担う。また、2013年に発生したアルジェリアでの人質事件ではテロリストに加害された日揮の関係者の方々、9名の御遺体を日本へ帰国させるためにも使用されている。

自衛隊の運航する政府専用機は拳銃射撃上級のアテンダントが乗務する

 

政府専用機の客室乗務員は”空中輸送員”

民間機の客室内では、いわゆるキャビン・アテンダント(CA)が接客を担当するが、政府専用機内での接客一般を担当するのは当然自衛官だ。隊員は”空中輸送員”と呼ばれ、乗務員の訓練は民間会社である日本航空に委託している。

女性隊員に至っては化粧の方法まで民間航空で研修を受けており、そのサービスのきめの細かさは今流行の格安航空会社(LCC)とは比べ物にならないという。”自衛官が接客”するというのはイメージが難しいが、政府専用機は自衛隊機であるため、機内で接客を担当するのは、やはり自衛官というわけだ。

なお、空中輸送員は身長や顔などの身なりで選抜されている。

自衛隊には隊員の外見の優越で選抜している職域があるのは周知の事実。例えば儀仗隊。司令部付や広報のWACたんなどもそうだ。空中輸送員も例外ではなく、容姿が選抜基準になっている。

ははは。そんなことはないよね。

しかし、単に顔で選んでるだけでは無いのも事実。空中輸送員は閉所戦闘のプロ。空中輸送員の女性隊員は9mm拳銃を使用した閉所戦闘訓練を受けていることが宮嶋茂樹さんの著書で明らかになっている。

その腕前も上級の資格を持ち、さらに格闘技の有段者でもある。

エプロン姿の普段の彼女たちからは想像できないが、要人のすぐ傍で任務を遂行する上で、緊急事態での警護も必要となるから当然と言えば当然だ。不測の事態に陥った場合は彼女たちもセキュリティとして敵に立ち向かう役割も十分に考慮されているわけだ。どこからSFP9を出すんでしょうか?

自衛隊の9mm拳銃(P220)とは?

ちなみに機内では寿司や高級ワインが提供されるが、やはり大臣閣僚など上級国民のみ。同行の警察SPやSAT、マスコミにはソーセージ、目玉焼き、ハム、サラダなど質素な普通の料理が供されるそうだ。

そして、その宮嶋茂樹さんのサイトにて政府専用機の機内の写真を見ることが可能だ。
http://www.fushou-miyajima.com/gekisya/080523_01.html

政府専用機が備える 「隠しタラップ」と重要なミッション

退役したB-747政府専用機には興味深い架装品の設置もあった。

通常、B-747型旅客機に乗客が乗り込む際はボーディング・ブリッジやタラップが使用される。本機も通常は訪問先の空港で用意されているタラップで要人が乗降する。そう、B-747型機の標準型には通常、昇降用の格納型階段が備わっていない。

そのため、嫌がらせでタラップを持ってきてくれない反日国もあるから万が一のため……というわけでもないが、万が一、大規模空港以外の中規模空港に着陸した際でも不都合がないように本機には内蔵式の隠しタラップが追加装備されている。架装されているのは機体右胴体の貨物用ドア。使用時は貨物ドアを開放し、タラップの展開は乗員が手動で行う。

実はこのような”隠しタラップ”は多くの国の政府専用機でも装備されており、アメリカ合衆国大統領専用機VC-25(いわゆるエアフォースワン)にも備わっている。

また、あくまで緊急用の使用を想定したものだが、日本の政府専用機は外国で戦争に巻き込まれた邦人の救出任務も想定されているため、タラップをかけている余裕がない場合などには陸上自衛隊誘導輸送隊がブッシュマスター輸送防護車に乗せて連れてきた邦人たちを隊員の警護誘導の元で、この隠しタラップを使って一気に機内へ収容するというわけだ。

アルジェリア人質事件と自衛隊法改正で陸上自衛隊に『輸送防護車』新配備

1985年、イランの首都テヘランがイラクとの紛争で危険な状況になった時、イラクの当時の大統領で2006年に処刑されたサダム・フセインが「3月19日20時半以降はイラン上空を飛ぶ航空機はすべて撃ち落とす」という宣言をしたため、外国人は自国の航空会社の臨時便で緊急脱出した。

しかし、日本人は逃げ出したくても日本の民間航空会社の労組は嫌だと言って緊急輸送を拒否したのだ。この時は自衛隊が邦人輸送をすることは許されず、トルコ政府が邦人の安全な避難に協力を申し出てくれたおかげで、トルコ航空機が邦人を脱出させてくれたのは有名な話だ。

今後、同様の事案の際に活躍するのが、現在は2機体制でオペレーションされている政府専用機というわけだ。

邦人の緊急輸送ミッションの必要があれば、陸上自衛隊の5方面隊に敢えて所属せず、方面隊と同格の部隊として独立し、全国を警備担任地区とする陸上総隊隷下の中央即応連隊、第1空挺団特殊作戦群といった特別な死生観を持った自衛隊員が政府専用機に搭乗し、89式小銃、あるいはM4と防弾盾を抱えつつ、日本人を助けにやってきてくれる手はずとなっているのだ。心強い。

不正規戦に対応する陸上自衛隊特殊作戦群とは

このように、総理大臣や天皇陛下の外遊のみならず、外国での紛争時、現地に滞在する邦人の緊急避難でも活用されるのが、航空自衛隊が配備運用する政府専用機なのだ。