自衛官が制服の胸に装着する『き章』と『防衛記念章』は隊員それぞれの技能や功績を顕す鏡である。
階級章とは別に自衛官が制服の胸や襟に着けている職種や技能をあらわすバッジを「き章」と呼びます。き章には制服のエリにつける「職種き章」と、制服の胸につける「技能き章」などがあります。
陸上自衛隊には16の職種があり、それぞれの職種き章が制定されています。また、そのほかにも地位や職務(営内班長や服務指導准尉など)を表す各種き章があります。
陸上自衛隊の「技能き章」には、レンジャー、スキー、空挺、航空管制、不発弾処理などがあります。
技能き章とは、課程教育修了者の特技を表すもので制服の胸に装着します。
典拠元 防衛省自衛隊千葉地方協力本部 http://www.mod.go.jp/pco/chiba/kaikyu.html
MOSってなに?
MOS(モス)と聞くと、フレッシャブルなあのモスバーガーだと思う人がいるかもしれません。実際に自衛隊の駐屯地の中には、モスバーガーがあるところもあるんです。さらにミスタードーナツまであったり、デイリーヤマザキショップが多く入っています。
話がそれましたが、ここで言うMOS(モス)とは自衛隊での資格、「特技区分」なのです。
英語で書くと「Military Occupational Spesiality」です。
特技区分?MOS?
つまり個々の自衛隊員がそれぞれの役割を担うために付与された自衛隊の中だけで通用する資格です。
隊員のスキルを表す自衛隊独自の資格と言えるでしょう。
その「特技」についてですが、職種によって実に多様です。
余りにも多すぎますが、まず自衛官としての基本のMOSとも言えるのがやはり、すべての自衛官は小銃射撃の訓練を受けるため、すべての自衛隊員が持つとされる軽火器(小銃)のMOS。
また、らっぱを吹く隊員は通称「らっぱ手」と呼ばれますが、これもらっぱの教育を受けて取得する「らっぱMOS」です。
さらに、トラックを運転する隊員には「装輪操縦MOS」。
機甲科で戦車などを操縦する隊員はショベルカー等を「公道」で走らせる為に必要な大型特殊免許、または大型特殊免許(カタピラ限定)がまず必要ですが、それにプラスして「機甲MOS」が必要です。
これらのMOSは通常5桁の番号で管理されています。
これら各種のMOSを持つ隊員が支えあって自衛隊という組織が構成されています。
なお、もちろんこれらのMOSは自衛隊でのみの資格であるので、一般社会でのいわゆる国家資格、公的資格などとは別物です。ですから、言うなればやはり「資格」というより「特技(スキル)」でしょう。
なるほど。らっぱ吹くにも資格がいるんだ!
隊員が複数のmosを所持している場合、その資格の数だけそれぞれのき章を着けてよいことになっています。ただ、必ずしもつけなければならないという義務はありません。
陸自でも最も過酷なレンジャー訓練を耐え抜いた者だけに与えられるレンジャー徽章。レンジャーや空挺は付加特技というMOSの一つ。
冬季遊撃き章
冬季遊撃課程教育を受けた隊員が着用できます。同教育は札幌市にある冬季戦技教育隊で行われるもので、極寒の積雪寒冷地の環境下において、作戦を遂行する隊員を育成しています。真冬の北海道で戦争が起きると同資格を持った隊員で特殊部隊が編成されます。
スキーき章
陸上自衛隊の教育訓練に関する訓令第53条第1項の規定により実施されるスキーに関する技能検定において、陸上幕僚長が定める基準以上の成績を修めた者が着用できます。
航空自衛隊の徽章
航空徽章
航空医官徽章
不発弾処理徽章
航空管制徽章
兵器管制徽章
高射管制徽章
航空学生徽章
海上自衛隊の徽章
水上艦艇徽章
潜水員徽章
航空医官徽章
潜水医官徽章
特別警備隊徽章
航空管制徽章
航空学生徽章
徽章磨きに活躍する「ピカール」ってなに?
自衛隊はピカールなしに語れません。ピカールといえば、市販の金属研磨液で金属のツヤを出すために使用されているモノですが、自衛隊ではどこの部隊、駐屯地、基地でもコレがないところは無いでしょう。
狂ったようにドアノブを光らせたり、営内や部隊の中にあるさまざまな「ヒカリモノ」を輝かせるために使用されます。
金属ならなんでも磨き上げられるため、徽章を光らせるのにも使用されています。自衛官の徽章がピカピカして、やたら誇らしく見えるのはそのためです。
なお、防衛大学校ではこの「磨き」をしっかりやらないと「ピカール不備!」とされ、叱責されます。君も自衛隊に入ってピカ中になろう。
防衛記念章
自衛官の胸元につけられる小さくカラフルな徽章で、これは自衛官の各種功績をあらわす証しとも言えるでしょう。
数十年勤務し、尚且つ優秀な隊員は20個以上つけることもザラなんです。複数回授与された場合はバッジの上に桜花を載せます。1回目は銀で2回目は金色のサクラ。
なお横に並べられる数は男性は3つ、女性隊員は2つまでとなっています。