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八雲文屯基地の昼食「帯広風豚丼」
航空自衛隊 八雲分屯基地の昼食「帯広風豚丼」

自衛隊員は食堂でどんな食事を食べるの? ご当地メニューが多い隊員食堂のメシ!

自衛隊では曹士隊員が営内に居住する限り、食事が無料です。もちろん役所ですので、栄養士がカロリーと栄養バランスを重視してメニューを作っていますが、見た目は随分と「質素」にも見えます。陸上自衛隊の場合は一人当たりの一日の食費は850円と予算が決められています。

自衛隊の食堂のごはんは決して豪華ではありませんが、平均的な一般家庭の食事と同等です。

少なくとも、ヨメの作る食事より献立豊富かつ美味いと思っている隊員もいるそうなのです。

具体的にどんな献立が供されるのかというと・・・。

ラーメン、うどん、カレー南蛮、ちゃんぽんなど麺類はもちろんのこと、毎月一回ステーキが配食される駐屯地もあれば、カレーとナンなどインド料理も出ます。

このように自衛隊の食堂メニューはアイデアに富んでいます。

政令指定都市の駐屯地などはさすがに大規模で、とくに東京の朝霞駐屯地は実に1500人もの隊員の男性や女性の胃袋を満たすため、超デカイ食堂が駐屯地内に備わっています。

演習などが行われる場合は最大で6000人規模にもなるそう。朝霞と言えば、女性自衛官教育隊の根城でもあり、体育学校も併設されています。

なお、レンジャー教育訓練で食べる食事については・・・ちょっとこのページではご紹介することに抵抗がありますので、興味がある方はレンジャーごはんのページをご覧ください。今は見ないほうがいいと思います。

お米も結構いいものを食べているのが実情です。

陸上自衛隊大久保駐屯地では、お寿司屋さんや高級料亭などで定評のある「キヌヒカリ」を食べていましたが、キヌヒカリと偽って同駐屯地に品質の悪い米を納入したブラック業者が警察に逮捕されています。

きっかけは陸自の担当者が米のばらつきに違和感を覚えたため、品種調査を民間会社に委託したところ、別の品種が複数混じっていることを突き止めたからだそうです。


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食事の美味しさは、陸海空ごとや基地ごとに違いが出る

さらに自衛隊の各駐屯地や基地には「基地名物料理」等が多く食欲をそそります。

例えば、航空自衛隊のレーダー・サイトでは僻地等の過酷な環境ですから、食事は美味い事で有名です。

海自の潜水艦も同じく。

食事を作る隊員は陸海空では異なっており、海と空は専門職の隊員が材料の注文・献立作り・調理まで全部をやります。

一方、陸自は技官である栄養士の指示の下、各駐屯地業務隊(駐屯地の警備、医務、給食などの駐屯地内業務を行う部門)の中にある糧食班が炊事を行います。

この「糧食班勤務」は駐屯地の各部隊から差し出された隊員による臨時勤務で、詮ずるところ専門職の隊員ではないのです。

このため、陸自だけ素人調理でメシがマズい印象を受けますが、なぜ陸自だけ3ヶ月の交代制で臨時勤務員に調理させるのか、実はそれには深くて立派なワケがあるんです。

自衛隊の公式回答によると「たとえ部隊が離散して隊員一人になってしまっても生きてゆけるように、生存自活訓練としての側面から隊員それぞれに調理を経験させているんです」とのこと。

なるほど、陸自が専門の給養員という職種を配置しない理由はここにあるんですね。

陸自の親心と考えれば目頭が熱くなりませんか。私は目から熱いものが。

だから、陸自の飯炊き「臨時勤務」という伝統は陸自がしっかりとした思想を持って行っていることであり、どうやらメシマズではな・・なくもないみたいで、海・空に比べるとやっぱり調理技術は劣るかもしれません・・とのことですよ。

参考文献 陸上自衛隊公式サイト
http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/omosiro/omosiro11.html

このように陸自の駐屯地でメシを作っているのは駐屯地業務隊糧食班ですが、なぜか[キッチンポリス]と呼ばれます。略してKP。

元は米軍用語であり、米軍では懲罰で糧食勤務を命じる場合があるのですが、それが自衛隊にも入ってきたそうです。ただし、自衛隊で糧食勤務は懲罰ではありません。KPに派遣された隊員はあまりうれしくないそうです。「もってる!?モテるくん」というテレビ番組でも駐屯地記念祭を紹介するコーナーで自衛隊用語クイズとして出題されたこともあります。

自衛隊のごはん 航空自衛隊 芦屋基地編 ほんとうの自衛隊のごはん

自衛隊のごはん 航空自衛隊 芦屋基地編 ほんとうの自衛隊のごはん
B00J9B2BPI | 廣川ヒロト | 電明書房 | 2014-03-26

実は2011年度時点で全国138カ所もの陸自駐屯地の食堂で給食が民間に委託されています。

このように自己完結型の組織である自衛隊にとって、食事を作るということは組織運営上の基本でありましたが、実は陸上自衛隊に関していえば、今や各駐屯地で給食業務の民間委託が大変増えています。

例えば、北海道の陸自北千歳駐屯地では今まで隊員が交代で調理業務を行っていたものを2010年4月からは民間業者に委託しており、2011年度時点で全国138カ所もの陸自駐屯地で民間委託されています。

一方、航空自衛隊の場合、すべての基地で調理・配食を行っているのは、航空自衛隊給養員です(ただし皿洗いは民間業者が受託しています)。

自衛官が必要な一日のカロリーはいくら?

一般的な20代成人男性が一日に摂取するべきカロリーの目安は、2500キロカロリーです。一方で、厳しい体力練成や訓練で体を酷使する自衛官は、1日約3000キロカロリーが基本となっています。

さらにパイロットや航空機搭乗員はこれより余分に300キロカロリー(後述する加給食によって補います)が必要とされています。

ですが、か弱い女性自衛官様などのために、献立表の各メニューの欄にダイエットやカロリーバランスについての助言が書かれることもあります。

特定の職種の自衛官に配給される「加給食」って何?

戦車の乗員、救難員、パイロットなど一部の職種の隊員にのみつく食事の特典です。と言っても、それほど豪華なものがつくわけでもなく、通常の食事のほかにバナナ一本、缶コーヒー一本、チョコ菓子一個、プリン一個、梨一個など。糖尿病や水虫なら遠慮したい甘いものばかり。

なお、航空加給食の他に、潜水加給食もあります。もちろん、「パイロットは偉いから」などの身分差別ではなく、肉体を酷使する職種だからという理由です。

一方で航空自衛隊の「半減食」というメニューもあります。

これは通常よりもカロリーを低く抑えた料理で、例えば広東麺、キャベツ、にら饅頭、ザーサイの浅漬け、食べるラー油(笑)、ネーブルオレンジです。こちらのメニューのカロリーは1069Kcalです。

なおこの加給食ですが「パイロット」と一口で言っても自衛隊にはジェット機のパイロットとプロペラ機のパイロットがおり、実は両者で数十円程度それぞれ価格に差がついているんです。

やはり幹部自衛官は食事メニューが豪華なの?

前述したとおり、肉体を酷使する「職種」によっては通常の食事に一品程度プラスするという事がありますが、「階級」の差で食事に差をつけることは自衛隊の食堂にはありません。

階級が上がれば給料も上がりますが、階級や勤務成績で食事に差はありません。全員カレーライス食べていいんです。

ただ、幹部用食堂が一般隊員食堂とは別に用意されており、幹部と曹士で違うのは食べる場所である「食堂」です。

これは旧軍から続く伝統です。

ちなみに基本、幹部が基地内の食堂でメシを食う場合は有料です。これは本来、幹部は営外に住むのが基本であり、その分の食費などが月給に含まれているためです。

ただ、やはり幹部ともなれば米軍や各国軍将校との会食も多くなりますので、必然的に駐屯地の食堂以外で豪華な食事を口にする機会も多くなります。

最高!お誕生日に配給される特別献立!

自衛官がお誕生日に特別配給されるのが「誕生日者特別献立」です。

一般企業ではお誕生日を祝ってもらうなどそうそうないものですが、自衛隊では組織内での人権意識が非常に高く、個人のお誕生日も国防官として最大限に尊重される事実がそこにあります。

刑務所でも似たような制度として「誕生日用特別菜代」が計上されています。
http://www.mod.go.jp/asdf/omaezaki/tanjyobi/index.html

陸海空自衛隊それぞれにあるメシを作る腕を競う競技会

自衛隊では「競技会」という全国の部隊がその技術を競い合うコンテストがあります。もちろん陸海空それぞれに給養担任者の技量を競い合う調理コンテストがちゃんとあります。

競技会では味はもちろん、独創性、盛り付けまで採点されます。

陸自では「炊事競技会」海自では「食育献立コンテスト」空自では「調理競技会」とそれぞれ呼称は別ですが、どのコンテストも厳しい審査で高レベルの調理技術を競い合うものです。

料理の題目が提示され、なおかつ「カロリーは○○○カロリーまで!」という具合に細かい基準もあります。

レシピ自体も審査対象になるというから驚き。

なるほど、自衛隊のメシの質の高さはここにあったんですね。

自衛隊でお刺身は出ますか?

自衛隊でもお刺身が出ます。筆者が読んだ自衛隊広報誌MAMORには「食品衛生安全上のため、生の魚は冬にしか出しません」という主旨が書いてありました。

他方、元自衛官原作の「右向け左!」という作品では、自衛隊後援団体から提供を受けた魚の刺身をあくどい糧食班長のもと、糧食班だけで「食品衛生安全上のため、自衛隊で刺身なんぞ出せない。しかしせっかくもらったものを捨てるわけにもいかない。そうだ、俺たちだけで食っちまおう」とこっそり食べている・・という話があり、主人公もそのおこぼれにあずかろうと、こっそり糧食班を尋ねるのですが・・。

「陸上自衛隊の中で一番偉いのは糧食。俺らに文句つけたらどうなるかわかってるから駐屯地司令ですら何も言えない」というようなシーンも。

あくどい・・!班長あくどい・・・!帝愛並みです。

元自衛官のマンガとはいえ、さすがにどうかと(笑)

ほかにも各駐屯地、基地には名物料理がたくさん。

航空自衛隊芦屋基地にはご飯の上にヤリイカや明太子などが乗った名物料理・芦屋丼があります。

同じく空自の築城基地では陸の孤島ってわけでもありませんが、海上自衛隊と同じく毎週金曜日の昼食はカレーです。一方、北海道の函館近郊にあり、空自で唯一滑走路を持つ分屯基地こと、八雲分屯基地では帯広名物の豚丼が出るぞっ!豪快な肉の焼き方を見てくれ!(トップ画像)一方、陸自・別海駐屯地では北海道道東の名物であるブタカツをバターライスに載せた「エスカロップ」も供されています。

同じく北海道の空自・八雲分屯基地ではとれたての道産ホタテを使用したホタテ塩ラーメンが絶品です。

高知県の陸自・高知駐屯地ではカツオたたきの土佐丼が名物。

空自・海栗島分屯基地ではブリ料理。

陸自の将来の幹部となる隊員を教育する、幹部候補生学校には名物「剛健ちゃんぽん」。伝統かつ美味いと大人気。なお幹部候補生学校の朝食では平日は和食、休みにはパン食が供されています。ごはんのお代わりは自由とのことなので、糖尿病になるまでモリモリ食べて見るのも一考かもしれませんよ。

このように地域の名物料理や特産品が出るので、自衛隊食堂は何ともたまりません。

前述したように、最近では経費削減で民間業者に調理を外部委託している陸自駐屯地もありますが、山や離島の空自のレーダー基地や海自の護衛艦など、民間人が入り込めない職種ではこれからも自衛隊本来の味が失われることはないでしょう。

自衛隊のメシ炊きはやりがいのある仕事ですか?

各基地の給養員のインタビューを見ていると「やりがいがある仕事」と感じられます。自分が真心こめて作った食事を幕僚や可愛らしい女性自衛官がお腹一杯食べてくださるのですから、当然かもしれません。

でも、心をこめて作った料理が時には理解されないこともあります。「ばっかもーん!航空自衛隊の司令官の会食に羊の肉など使うでないないない!(残響音)」と給養員が叱責を受けることさえあります。

Nice Guys シリーズ航空自衛隊は技術者集団 石川曹長は給養員(調理師)一筋「食べる側の気持ちになって」府中基地に勤務している頃、総隊司令部からの会食依頼がありました。メインを「子羊の香草焼き」としたところ、今でこそこのメニューは認識されていますが、当時の総務部長には「司令官の会食に羊の肉を使うとは何事か!」と叱られたことがありました。私なりに自信を持って作った料理だったのですが…。

引用元 防衛ホーム
http://www.boueinews.com/news/2003/20031001_8.html

だけど、こんなことでブルッてるようじゃ自衛隊のシェフは勤まりません。

自衛隊ではきちんと仕事をすれば必ず報われるということを上記の記事では指摘されています。

ううむ、やはり自衛隊はそこら辺のド底辺ブラッキー戯食産業とは違うようですぞ。

まとめ

  1. 自衛隊の食堂は幹部と曹士隊員とで分かれている。
  2. 陸自では一人当たりの一日の食費は850円である。
  3. 陸自では民間委託が増えている。

参考文献(引用元の明示)
http://www.mod.go.jp/gsdf/ocsh/totugeki-kyuusyoku.html
http://www.boueinews.com/news/2003/20031001_8.html

このようにまとめました


記事の執筆者・著作権者 jieitaisaiyou.com


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