迷彩グッズから特殊雑誌まで売っている『自衛隊の中のお店』とは?
教育期間中の新隊員などは容易に駐屯地や基地の外に出ることが許されない。しかし、生きている限り、休息は必要だ。そこで駐屯地や基地では隊員が福利厚生で利用できる『厚生棟』を置き、隊員たちに束の間の自由を満喫させてくれるのだ。
厚生棟には喫茶店、理髪店、クリーニング店、有料インターネットコーナー、ATMなどなど、実にたくさんの便利な民間施設が入っており、些細な娯楽や大抵の用事はここで事足りる。しかし、さすがにパチンコ店はない。あったらまさに自己完結型組織だ。
自衛隊のPXとは?
そして、自衛隊の駐屯地や基地には食品、雑誌、私物用の迷彩服からお土産まで販売されている売店がある。
これはPXと呼ばれる自衛隊内売店のことで、米軍用語であるPost exchange(ポスト・エクスチェンジ)の略。かつての旧軍用語でいえば酒保(しゅほ)。つまりは営内や艦内に設けられた兵士向けの日用品・雑貨商店である。アメリカ海軍の空母などにも艦内に売店が入っており、大抵のものが販売されている。
PXは福利厚生、すなわち営内生活を送る曹士隊員の日常生活における購買の拠点として、結構重要な施設になっているのが実情だ。
駐屯地や基地、部隊の規模にもよりけりだが「自衛隊のPXに無いモノは無い」とよく言われる。もちろん、無い場合は外の実店舗やamazonで買い求めるが、大抵のものは買えてしまう。自衛隊のPXでも半長靴から迷彩服、日用品、雑誌、腕時計、お土産まで何でも売っているのだ。
自衛官が正式に国から貸与や支給されている制服や迷彩服、戦闘装着セットなど、任務に使用するさまざまな被服類や装具などを「官給品」や「官品(カンピン)」と呼ぶが、官品で支給されない装備品類さらに便利小物を隊員個人が私費で買って揃えたのが「私物」だ。そして、それらを隊員各自が調達しているのが駐屯地のPXなのである。
ちなみに自衛隊員の「私物」はどこまで持ち込み可能、あるいは業務に私用してもいいのかと言えば、部隊によって違う。
第1水陸機動連隊の前身である西部方面普通科連隊などではチェストリグなど個人装具に私物品の割合が多い場合があった。官品よりも米軍採用品などのほうが優れている場合もあり、隊員が創意工夫の名のもとに装着しているのだ。
また「官品の汚損や紛失防止のためPX品を使う」場合もある。一方でPX品を認めず、厳しく統制されている部隊もある。その基準は実際のところ部隊単位や部隊長の裁量による。
なお、自衛隊の官品の被服や装具には官給品であることを示す桜にQマークが入る(武器の場合は桜にWマーク)。各隊員に貸与された官給品は各自の責任のもと、厳格な管理が求められ、紛失や譲渡、それに売却などは厳禁だ。万が一、官給の装備品が外部に流れた場合、横領や横流しの可能性があるため、警務隊の出番だ。
PXはたいてい、駐屯地の厚生センターに入っているが、駐屯地や基地だけではなく防衛省本省にも設置されている。本省の中の売店には、だれでもお土産を購入できるお店と、現職自衛隊員かその付き添いが無ければ利用ができないという大変厳しいお店の二つがある。駐屯地へ来た外部の人たちも一部の商品が購入可能だ。
隊員に人気のPX商品はナニ?
では実際、自衛隊のPXではどんな商品が充実しているのか。そして隊員の間ではナニが人気なのか。独断と偏見でランキング。
まずは第三位!漫画雑誌&大人向け特殊雑誌。大人向け特殊雑誌は記念祭など一般開放時は隠されるマル秘アイテムだ。 なんだよ大人向け特殊雑誌って・・・・・・。
第二位!お菓子と菓子パン。甘いお菓子や菓子パンなどはとくに若年隊員に人気だ。カップラーメンも同様。
そして、栄光の第一位! 各種訓練用品や被服。やっぱりか。だって、PXには自衛官が日常使う迷彩の訓練用品がズラリと並んでいるので。
中でも迷彩手袋や皮手袋の種類が豊富で驚きだ。身分証入れも種類がたくさん。ちなみに隊員に限らず、基地、駐屯地の開放日などでは店が営業していれば来場者も店に入り購入できる。よく見る市販の日用品がOD色や迷彩に塗られ「自衛隊仕様」になった商品群を見たら驚くだろう(階級章など一部の商品は部外者の購入はできない)。
ちなみに次点は衣類用洗剤。結構種類が豊富。ちなみに、北海道内の陸上自衛隊基地内売店で売り上げがダントツな商品と言えばコレだ。
男性のみならず、女性自衛官もご愛用。だから女子高生もこれを使ってね。夕方のバス車内は部活帰りの(略)ウッ。
おっと。とある駐屯地の購買では腕時計も充実していたぞ。しかも『あるメーカー』の腕時計がずらっと並んでいた。その正体については”自衛官の愛用する腕時計”としてこちらでご紹介中。読むべし!
自衛隊の基地や駐屯地のオリジナルお土産
そう、隊員以外に見学者なども利用できるPXでは『自衛隊のおみやげ』商品にも力を入れている。定番の携帯ストラップなどのほか、各種迷彩グッズだ。
とくに人気なのがお土産の定番・おまんじゅう。『饅頭』『クッキー』、果ては『カレー』や『ラーメン』まで充実している。製造はもちろん民間のメーカーで”自衛隊製”ではないが、その種類は豊富だ。
当然、駐屯地や基地ごとに特色のある”ご当地みやげ”がある。
丸くて白いおまんじゅうで、中身はあんことチョコの自衛隊砲弾まんじゅう(600円)が今一番人気なんだとか。
また航空自衛隊 那覇基地カレーも大人気。
さらに自衛隊には何故かオリジナルのラーメンがあり、SDFヌードル、自衛隊オリジナルラーメン「標的」の2つは一部マニアから高い人気を誇っているのだ。さらに新顔として濃厚で美味しいその名も藤原製麺のミリタリーラーメンが全国の駐屯地で人気だ。
他にもいろんな商品があるので、記念祭などで駐屯地や基地を訪れたらお土産を忘れずに買っていこう。
自衛隊の売店PXのまとめ
「売店の充実っぷり」は隊員の士気向上に役立っている・・・・・・というわけである。