自衛隊は日本の国土を防衛する陸・海・空の三隊からなる軍事組織で、各種の脅威から日本の国土や日本国民を守ってくれるアグレッシブな官庁です。ちょっとした都合上「軍」という名称は使用できません。
必要に応じ、公共の秩序の維持に当たることも、法律上可能です。司令官は内閣総理大臣となり自衛隊の隊務を統括する者は防衛大臣です。いずれも文民であり、シビリアンコントロールの元で運用されています。
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3自衛隊の役割
陸自の定数は約15万2千人とされており、この中には即応予備自衛官は含まれておりません。
陸上自衛隊は、日本を「北海道」、「東北」、「関東・甲信越」、「中部・近畿・中国・四国」、「九州・沖縄」の5地区に区分し、それぞれ「北部方面隊」、「東北方面隊」、「東部方面隊」、「中部方面隊」、「西部方面隊」と呼ばれる部隊を配置しています。方面隊の中には「師団」と、師団よりコンパクトな「旅団」という基幹部隊があり、それぞれ方面隊の主要な正面を担当します。
師団や旅団は陸上自衛隊において作戦実行上の基礎となる部隊編成です。
現代における陸上自衛隊の師団や旅団は発足当初、基本的な作戦単位を前身組織である保安隊から受け継いだ「管区隊」として編成していました。
そして1962年(昭和37年)には管区隊は師団および、混成団として再編成され、長らく自衛隊の部隊編成として一般的でした。
陸上自衛隊に師団の誕生
陸上自衛隊の師団は昭和36年に管区隊が廃止された翌年、新たに誕生しました。
例えば、東京都練馬区には第1師団、北海道には第2師団(旭川)と第7師団(千歳)が置かれています。
これらの師団の上にあるのが「方面隊」であり、陸上自衛隊において最大の部隊編成単位です。
日本全国には北部、東北、東部、中部、西部の5つの方面隊が編成されており、それぞれの地域の警備を担任しています。
旅団は、師団よりも小さな部隊単位
冷戦後、各国で軍縮の流れが進むと、自衛隊でも師団の規模を縮小させたり、混成団の規模を拡充させる必要が生じました。
このため、1995年(平成7年)に閣議決定された07大綱に基づき、自衛隊として初となる旅団編制が導入されることとなりました。
旅団長は陸将補が充てられます。陸上自衛隊の旅団の人員数は2000~4000人でコンパクト化された部隊ですが「ミニ師団」と呼ばれ、システム的には師団に準じており、限定的な作戦実行能力を持った部隊編成となっています。
航空自衛隊の定数は約4万7千人で、予算は約1兆8百億円となっております。
世界最強の戦闘機と呼ばれるF-15をはじめ対艦番長というF-2戦闘機、早期警戒管制機、空中給油機、パトリオットミサイル、バッジシステムの導入など世界的にも高水準の防空能力を維持しております。また、高度な救助能力を持つ航空救難団は、災害派遣でも活用されています。
さらに日本政府専用機の運行も担っています。
海上自衛隊の定数は約4万5千人で、予算は約1兆5百億円となっております。艦艇、潜水艦、航空機、各陸上基地を運用します。通商貿易国家である日本のシーレーンを防衛することが基本任務である一方、他国から発射された核ミサイルをイージス艦搭載の迎撃ミサイルで迎撃することも任務となっています。
ひゅうが型護衛艦やおおすみ型輸送艦を利用することで、輸送や医療の面で大規模災害にも対応できます。
自衛隊の災害派遣
自衛隊では防衛という本来の任務以外にも、数々の民生協力を行っています。国民的行事である箱根駅伝や、オリンピックなどにおける救急医療や通信、輸送、音楽演奏など民生協力におけるその活動は多種多様です。
98年の長野冬季オリンピックでは、隊員がコース整備のためスクラムを組んで急斜面の雪を踏み固めました。
さらに大規模災害時における災害派遣は地方自治体の要請を受ければ、24時間いつでも可能です。
防衛省ってどんなところ?
自衛隊の最高司令部である中央指揮所を地下に隠し持つ防衛省。有事には巨大なアンテナを頂点に、多様な設備を設置したこの役所の地下で防衛大臣が自衛隊の指揮を執る日本防衛の最頂点です。
防衛省の英語読みはMINISTRY OF DEFENSE。略してMOD。
防衛省のなかでは制服を着た自衛官はもちろん、文民である非戦闘員の事務官や技官も同じく勤務しています。防衛省の文民トップは防衛大臣を頂(いただき)に、副大臣、そして政務官がいます。
一方、武官である自衛官のトップ組織として「統合幕僚監部」が設置され、統合幕僚長を頂として自衛隊の組織を司っています。防衛省は日本の防衛のまさに中枢であり、あわせると1万人もの自衛隊員が働いています。
また、省内には多様な付設機関が置かれているのも特徴です。
防衛研究所では自衛隊の管理および運営に関する基本的な調査研究を行うとともに幹部自衛官、その他の幹部職員の教育訓練を行っています。また、統合幕僚学校では将官や上級幕僚になる為の教育を行っています。
ほかに国際平和協力センターも併設されています。防衛大臣は普段、防衛省の中でもA棟と呼ばれる棟で執務を行っています。A棟は幕僚監部も入っているほか、屋上にはヘリポートを完備。
また、防衛省の巨大なランドマークでもある通信鉄塔と呼ばれる巨大なアンテナがあるのがB・およびC棟です。
アンテナの高さは220メートルもあり本省の建物よりも高く巨大です。
ここには通信に関する部隊が所在するほか、気象観測部隊もいます。
ほかにも、トレーニング用屋外グラウンド、理髪店、内科と外科と歯科が入った診療所があり、自衛隊員が利用できます。
防衛省の警備を行うのは警務隊と民間の警備会社
過去、学生デモはなやかなりしころ、旧・防衛庁には檜町警備隊と言う警備部隊が存在しました。
この学生運動のさなかには、朝霞駐屯地内で警衛に当たっていた隊員が、幹部自衛官を装って侵入した左翼勢力の大学生らによって加害されるという痛ましい事件も起きています。
現在、防衛省の警備は警務隊が基本的に責任を負います。防衛省正門前では、もちろん拳銃を携帯した警務隊員が立哨しています。
2001年9月11日、アメリカでテロが発生した直後、日本の防衛庁でも正門前で自動小銃を胸の前に抱えて警備する迷彩服姿の自衛隊員の姿も報じられました。
一方、自衛隊では民間の警備会社と役務契約を結んでますので、民間警備員が警備や来場者の受付など警備しています。
もちろん、自衛官と違い民間警備員は警備業法で決められた武器しか所持していません。
お土産店も!
また、防衛省の中には何と26店ものお店が入居しています。中でも「山陽堂書店」という本屋さんではいろいろな本を売っていますが、自衛隊オタク向けのミリタリー雑誌もきちんとオサえています。
ほかにも靴屋さん、さらになんとお酒を販売する酒屋さんも入っています!
これらのお店は一般の見学者(防衛省のホームページから申し込みが可能です)も利用できるほか、地方の部隊から出向してきた自衛官もお土産を買うために、利用するんだとか。
しかし、一般客お断りのお店が地下一階にあります。
ここは自衛隊法上の自衛隊員もしくは自衛隊員の付き添いがある者しか利用できないショップで、こちらも自衛隊オリジナルのお土産が各種あるようです。
自衛隊の治安出動とは?
治安出動とは治安の維持のため自衛隊に対し出される命令です。
日本の自衛隊史上、過去に一度も発令されたことがありません。95年3月に起きたテロ組織による地下鉄サリン事件で自衛隊に下された命令は治安出動命令ではなく災害派遣出動命令でした。
昭和40年代には学生運動が激しく、自衛隊の治安出動も想定されており、自衛隊では隊員がゲバ棒を振りまわす学生デモ隊を演じ、これを鎮圧する訓練が行われていたことがあります。
自衛官は武器を使用できる 治安出動をする自衛官は警察官職務執行法が適用されるため正当防衛はもちろんのこと、必要に応じて指揮官の命令を受け銃を使用できます。
国際貢献
自衛隊では90年代より海外派遣が行われており国連平和維持活動、いわゆるPKO活動などのため、拳銃や小銃を装備した施設部隊などが派遣されています。近年ではイラク戦争においてサマワ復興支援群、また情報収集と警備のため陸上自衛隊唯一の特殊部隊である特殊作戦群が派遣されています。
さらに2009年には海賊討伐(対処)ミッションのため海上自衛隊の航空機と護衛艦が、また陸上自衛隊部隊が海上自衛隊の航空基地警備のために派遣されています。これら自衛隊の行う平和維持活動・国際緊急援助活動は人道支援ミッションとして自衛隊にとって、とても重要な任務となっており各国から高く評価されています。
今、自衛隊の優れた技術と人材が世界中から求められています。
2011年6月1日にはアデン湾の海賊対策のためにジブチ共和国に自衛隊初となる海外基地が開設され、海上自衛隊P-3C航空部隊や、海賊逮捕のため海上自衛隊特殊部隊「特別警備隊」の隊員らが派遣されています。
多くの国の平和と発展に寄与するため、自衛隊の海外派遣は今後も日本の責務として増加傾向にあります。
自衛隊は進化する-海兵隊やオスプレイ、宇宙部隊
近年、周辺諸国からの日本に対する威嚇因縁が超えてはいけないラインを超えたため、陸上自衛隊に海兵隊と同種の任務を行う、約3000人規模の水陸両用部隊「水陸機動団」が編成されます。
これに先立ち、すでに陸上自衛隊ではアメリカ政府から水陸両用戦闘車「AAV7」を購入しており、将来的に自衛隊の海兵となるべく、同部隊の準備部隊が派米され米軍とともに訓練を開始しています。
また、部隊の迅速な展開を可能にすべく、垂直離着陸輸送機オスプレイの新規配備も決まり、同機のほか、すでに取得された水陸両用戦闘車AAV7をも搭載可能にする「新型ヘリコプター搭載護衛艦いずも」を平成27年3月に就役させています。今なお周辺諸国に不当に占領されている日本の島をどのように奪還するかが、日本の安全保障と独立にとっての今後のカギとなると目されています。
さらに、インターネットの仮想空間を陸海空宇宙に次ぐ「第5の戦場」と見立て、自衛隊は「サイバー防衛隊」を2014年に新編しました。民間人のハッカーを特別な自衛隊員として雇って、自衛隊の通信システムを防御したり、逆に敵の通信インフラをダウンさせることも任務となると目されています。
また、2019年までに自衛隊では宇宙部隊を新編し、宇宙空間での脅威の監視を強めることを正式に発表しています。
自衛隊の武官「防衛駐在官」
世界各国の日本大使館に派遣されている、陸海空の佐官クラスの自衛官たちの存在をご存じでしょうか。
彼らは防衛駐在官と呼ばれ、主な任務は他国の武官と相互交流しながら日本の国防に関わる情報を収集すること。
また諸外国に日本の特殊な自衛隊という軍隊を理解してもらうための活動をしています。
彼らの身分上は外務省へ出向中という形になっています。
現在、自衛隊が海賊対処で派遣されているアフリカのジブチへも防衛駐在官が派遣されており、現地の詳しい情報収集活動を行っています。
一方で外務省の役職である「在外公館警備対策官」に防衛駐在官として出向し、在外公館で任務に就く自衛官もいます。
参考 在イギリス日本大使館公式ページ 防衛駐在官の紹介
http://www.uk.emb-japan.go.jp/jp/jicc/essay/190201mizuma.html
防衛駐在官という任務~38度線の軍事インテリジェンス~ (ワニブックスPLUS新書)
4847060539 | 福山 隆 | ワニブックス | 2012-06-08