不正規戦に対応する陸上自衛隊特殊作戦群とは

特殊作戦群要員に選抜されるためには?

詳しい条件は公表されていないが、志願者は全国の陸自部隊から広く募っているという。特殊作戦隊員の選抜試験の受験資格者は原則として空挺および、レンジャー資格を有する優秀な3等陸曹以上。見込みのある隊員は連隊長などの推薦を受けたうえで選抜試験を受験できる。

第1空挺団が特殊作戦群の母体ともなったことから、その多くが第1空挺団からの選抜となっているのも頷けるが、創設当初は第1空挺から特殊作戦群へ移る者は「裏切者」のような扱いをされていたとも、前述の荒谷初代群長が著書で述べている。

しかし、選抜試験は体力もさることながら、とくに精神面や問題対処能力の優劣を極限まで見極められるため、全国から集まった連隊随一の優秀な隊員であっても不合格が常であったそうで、全国の連隊長から抗議が来たという逸話もある。いったいどこまで優秀な自衛隊員が特殊作戦群隊員になれるのか、想像も出来ない。

なお、特殊作戦群隊員の給与は当然、特殊部隊向けの給与制度である「特殊作戦隊員手当」が適用され、厳しい訓練と任務に見合った待遇が保証されるのは言うまでもない。

特殊作戦群まとめ

2015年、テロ組織『イスラム国』は2015年、ネット上で「東京の悪夢が始まった」という主旨のツイートを発したことは記憶に新しい。東京がテロの標的に狙われる公算が高まっているなか、2020年には東京オリンピックが開催された。幸いなことに大きな事件はなかったが、日本政府はこれまでにない高度なテロ対策を迫られ、警察庁はSATの訓練動画を再び公開するなどテロ抑止につとめてきた。

【史上初】特殊作戦群の実働訓練画像を防衛省の正式公表前からオーストラリア軍側が公開→削除してSNSでは物議。その背景には何が?

一方、防衛省では2022年、特殊作戦群に関して史上初となる『訓練画像』を公開し、大きく情勢が動いた。これは防衛省側の思惑とは裏腹に、外国軍によって意図しない情報公開を受けた形とも言われ、これには当の防衛省もマニアも困惑だが、ともかく編成から18年を経た今もなお、日本政府は彼ら現代のサムライ達からマスクを外させようとはしないようだ。

しかし、陸自唯一の特殊部隊・特殊作戦群ではそのような国内でのテロ対策および、海外での邦人救出など任務拡大を見据え、多様な作戦に対応できるよう、日々訓練が着々と行われていることは想像に難くない。

いずれにせよ、特殊作戦群が出動するようなテロや有事などくれぐれも起きないよう、国際社会の早期な平穏正常化を本年も希求するのみだ。