自衛隊の防弾チョッキとは?

戦闘防弾チョッキ

陸自と空自に配備されている旧型の防弾チョッキは防弾チョッキという名称ですが、実は小銃弾を防ぐ効果は限定的であった。現在は後継の2型に移行し、セラミックプレートが追加できる改良を施し、防弾性能向上が図られている。

自衛隊の防弾チョッキはかつて、防弾というよりは防爆チョッキだったって本当?

実は戦場で兵士が受傷する理由で最も高いのは銃弾よりも砲弾の破片だ。砲弾が着弾し、爆裂すると周囲に砲弾の破片が飛散、兵員を殺傷する。このような攻撃から身体防御をする手段として各国ではアーマーを研究し、兵士に支給してきた。

参照元 防衛省の技術研究本部の公開情報 http://www.mod.go.jp/trdi/research/dts2010.files/R5/R5-2.pdf(リンク切れ)

2014年9月27日に発生し、58人が命を落とした戦後最悪の火山災害、御嶽山御嶽山噴火では警察、消防、自衛隊が救助活動を行ったが、自衛隊員は万が一の火山弾の直撃から身を守るためヘルメット、さらには戦闘防弾チョッキを着用し、捜索を行った。

自然災害において、まさに砲弾の破片から身を守るという防弾チョッキの性能が用いられたのだ。

自衛隊初の「戦闘防弾チョッキ」が登場

自衛隊における防弾チョッキの配備は陸自で1992年から始まりました。

ちょうど迷彩服が2型に更新された時期に戦闘装着セットとして同時採用です。

迷彩服の偽装効果を犠牲にしないため、チョッキ自体にも迷彩が施されています。

マガジンポーチを収納するためのポーチも付属しています。

制式名称は「戦闘防弾チョッキ」で、この初期型タイプは小銃弾に対する防弾性能がありませんでした。

防弾チョッキのセカンドバージョンが登場!今度はライフル弾を防げる!?

長らく使用された「戦闘防弾チョッキ」に代わり、現在広く配備されている「防弾チョッキ2型」は大幅にデザインと仕様が変更され、マガジンポーチ付属型でダルマみたいにズングリムックリしていた前モデルに比べ、標準の状態ではすっきりとスマート。

というのも、2型では米軍のPouch Attachment Ladder System(PALS・パルス)を参考にしたのか、チョッキ全体に個人装具取付用のテープが配され、ポーチ類が任意で取り付け可能になったからです。

このシステムで各種のウェビング装備(ウェディング装備ではなく)を装着可能ですが、自衛隊独自の規格で米軍とは厳密には規格は異なっているようです。
米軍ではパルスに対応したポーチ類が民間の各社から多数販売されており、メディックや機銃手など兵士の特技ごとに好きな位置に自由に多様なポーチ類を設置可能です

陸自でもPXで買ったポーチ類を隊員が比較的自由に2型に配置していることが写真で確認されています。お役所的日本軍も進化したみたい。

2型の上から弾帯と弾帯吊りを装着する例もあります。また、ほかにも性能面で大きく改善された部分としては小銃弾に対して抗弾効果のあるプレートを挿入し防弾性能が向上しています。

さらに背中には、負傷時に他の隊員から引っ張ってもらうための取っ手がついています。肩部分と襟のアーマー・パッドが取り外し可能になり軽快です。とは言ってもかなり重いので、小柄な隊員や女性自衛官には大変です。

現在はさらに改良された防弾チョッキ3型へ

水中に落下した場合や負傷して手当が必要な際などにワイヤーを引き抜くことでチョッキを素早く分解できるクイックリリース機能を搭載した「防弾チョッキ2型(改)」の配備が進められていますが、現在、陸自で最新型は防弾チョッキ3型です。

防弾チョッキと言えば、イラク戦争で米軍が撃ちぬかれた防弾チョッキの補修費用を兵士個人に請求していたことが判明しました。自衛隊では今後、そんなことが起きうるとは思えませんが、実際はわかりません。

参考文献 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200602101724395

ちなみにこの防弾チョッキ2型を着用してみたい方はいらっしゃいますか。
苦行僧じゃないんだからいませんよね。
でも、もしいらっしゃれば、朝霞市にある陸上自衛隊の広報センター「りっくんらんど」にて展示されているので行ってみてくださいね。