女性自衛官を戦闘職種に就かせなかった理由とは?

新たに女性自衛官に開放された職域。特殊部隊や戦闘機パイロットへの任用も決定済み

これまで一部職種で配置が制限されていた女性自衛官。しかし、今後は女性が活躍できるシーンが多くなりそうです。

東日本大震災では被災者、とくに避難所における女性の被災者の救援活動では女性自衛官が身の回りのお世話をするなど、男性では難しいサービスにて活躍しています。

ジブチ海外派遣部隊には、女性自衛官も派遣されています。

また航空自衛隊では現在、多くの女性隊員の整備士が航空機や通信機器などの多様な整備任務にあたっています。

航空自衛隊の航空機は彼女たちのめ細かな整備によって飛んでいるといっても過言ではありません(男性整備員の方々、許してください)。もちろん女性パイロットもいます。

さらに女性の幹部自衛官も昔よりはるかに多くなっており、いまや航空隊の隊長にも女性自衛官が任用されています。

そして2015年になると、防衛省が女性自衛官の戦闘機パイロットの任用を決定すると発表しました。これは、女性の体格・体力が向上していることが理由とされています。今後は女性自衛官の活躍がさらに期待されることになるでしょう。これまでは、女性自衛官が配置されない職種として下記の職種が発表されていました。

まず、戦闘機/戦闘ヘリの乗員。空自では戦闘機の操縦士およびナビゲーターに女性自衛官が配置されていませんでした。陸自ではコブラやアパッチの操縦士に女性自衛官が配置されませんでした。

防衛省では、これらの制限を撤廃したうえで、新たに女性の戦闘機パイロットや戦闘ヘリのパイロットを育成し、将来的に任用すると発表しました。

さらに海上自衛隊特殊部隊「特別警備隊」においても女性の配置制限が撤廃され、新たに任用のための育成段階に入っています。ただし、今もなお、陸自の普通科のナンバー中隊や第1空挺団では女性自衛官の任用が制限されています。

追記 <ひとキラリ>自衛隊初、女性空挺団員へ 習志野駐屯地・橋場麗奈3曹

また、公式な発表はありませんが、推測ではさらに困難な任務達成を要求される特殊作戦群(特殊部隊)にも女性自衛官はいないものと見られています。

普通科とは赤い職種マフラーを巻いた勇壮ないわゆる歩兵。敵陣地へ攻め入る古典的な兵隊稼業ですが、普通科でも後方職種では女性自衛官が配置されることも珍しくないものの、ナンバー中隊には依然として厳しい制限があるようです。

防衛省は15日、これまで男性自衛官のみ配置してきた陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターのパイロットや、海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」に、女性自衛官を起用すると発表した。女性の活躍推進の一環で、訓練などを経て2017年度以降に配置が始まる見通しだ。

典拠元

http://www.sankei.com/politics/news/160316/plt1603160013-n1.html

産経新聞の報道によれば、今回の防衛省の発表として、もう一つの自衛隊特殊部隊である陸自特殊作戦群には言及されてはいませんが、TBSの配信する記事では「長期間、補給がない状態で戦闘を行う可能性がある普通科中隊などへの女性自衛官の配置は、引き続き行わない方針です」と報じています。

不正規戦に対応する陸上自衛隊特殊作戦群(略称・SFGp)とは

このことから類推するに陸自特殊作戦群も当然、無補給で山を走破し、ゲリラ攻撃を担う部隊であるため、女性隊員の起用は見送られたのではないでしょうか。

<一部抜粋>

また防衛省は、海上自衛隊のミサイル艇や掃海艇にも女性専用の区画を設けて女性の配置を可能にしたということで、こうしたポストについては、訓練を経て再来年度から、順次、女性自衛官の配置を始める見通しです。 一方、艦内のスペースが狭く女性専用の区画が設けられない潜水艦や、長期間、補給がない状態で戦闘を行う可能性がある普通科中隊などへの女性自衛官の配置は、引き続き行わない方針です。(15日19:39)

典拠元

http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0316/tbs_160316_0966108338.html

普通科(連隊)とは陸自の主力たる戦闘部隊。すなわち諸外国陸軍の歩兵部隊に該当する。その普通科のなかでも、基幹と言えるのが「普通科中隊」であり、1から4まで数字を与えられたいわゆるナンバー中隊です

普通科の中にも多くの職種があり、重迫撃砲中隊、医療や通信といったいわゆる後方職種の本部管理中隊に女性が配属されている例がありますが、戦闘そのものを担うナンバー中隊には男性自衛官しか配置されておらず、女性の配置例は過去にありません。

戦闘の最たる主力部隊であることから、長期間、補給を受けずに戦闘を維持するということが念頭になっており、男性隊員の中でもとくに男性ホルモンが多くて勝利至上主義で、モミアゲがビンビン状態の男の人が選ばれています。女性であっても激しい運動により男性ホルモンが多量に分泌されることで、ホルモンバランスが崩れることがあります。やはり母体保護政策を取り決められていたのがこれまでの防衛省です。

ただ、海自特別警備隊の訓練では陸自でのレンジャー教育も施されており、女性SBU隊員がレンジャー訓練を受けるのか否かも興味深いところです(陸自のレンジャー訓練を陸自の女性隊員が受けることはできないため)。

空自の戦闘機パイロット女性起用に引き続いて行われた、このたびの海自特警隊員における女性隊員配置制限の撤廃。しかし、陸上自衛隊特殊部隊では今回の規制緩和でも女性隊員起用は漏れてしまったようです。

ただ、特殊部隊に女性が配置されることは世界的に見ても珍しくなくなっており、2015年12月には突如としてアメリカ軍が「2016年からアメリカ軍はすべての職種、部隊において女性の配置制限を撤廃する」と発表しました。その理由は「もはや男性と同等の能力を有する女性兵士を除外する余裕はないから」とのことです。米海軍Navy SEALsでも、すでに女性隊員が誕生しています。