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空戦における調査研究と教育指導を目的とする航空自衛隊最強のエリート教官パイロット集団

航空自衛隊の中で最も優秀な操縦士のみなれるのが、2014年に航空総隊直轄の飛行教導隊から新編された航空戦術教導団隷下の「飛行教導群」。

同部隊はアグレッサー部隊とも呼ばれており、詮ずるところ、彼らの普段の任務は「敵役」です。それもかなり手ごわい強敵です。

飛行機を自分の手足のように動かすためには、まず計器飛行とアクロバットのマスターが基本であるとプロ・パイロットは言いますが、飛行教導隊の教官は航空自衛隊の中でも最高峰の技量を持っています。

この”教官集団”は全国各地の飛行隊を巡り、空の上で実際に模擬訓練をしながらパイロットに教育などの戦術指導を行うことを恒常任務としています。

ちょっとメモ。TACネームとは?

TACネームは戦闘機パイロットがもつニックネームのことで、機体ごとにつけられた「コールサイン」とは異なります。自衛隊におけるTACネームという慣習ですが、不思議なことに陸自と海自には存在せず、航空自衛隊でも、TACネームがあるのはファイター(戦闘機)パイロットのみで、輸送機やヘリのパイロットは持っていません。航空雑誌を読むと良くわかると思いますが、通常は戦闘機の機体の横やパイロットのヘルメットにTACネームが書かれていたりします。でも、なぜ戦闘機のパイロットのみがTACネームを名乗るのでしょう。確定的な理由は不明ですが、戦闘機の場合は一人乗りが大半で、また、機体同士で連携というよりは、やはりパイロット同士が連携して作戦を行う上で、関係を密にしてお互いを呼び合うために、このようなTACネームが必要なのかもしれません。また、同姓の隊員だった場合、姓で呼ぶと混乱したり、航空自衛隊の無線と言えど、航空無線は誰でも聞けますから、氏名を公にしてしまうのも問題があると言えるでしょう。なお、航空自衛隊では慣例的にTACネームをつけてくれるのは先輩や教官ですが、あまりに変なネームだと基地司令など偉い人からダメ出しを受けることもあります。ちなみに航空自衛隊千歳基地を舞台にF-15イーグルのパイロットたちを描いた映画「ベストガイ」では、主人公の織田祐二が「GOKU(ゴクウ)」というTACネームでした。たしかにサルっぽい!?でも本当は「第五航空団から来たのでゴクウ」とのことです。故・ロック岩崎氏の「ロック」も空自時代のTACネームに由来しています。


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飛行教導群の使用機体はなにか?

1981年に福岡の築城基地に編成された当時の飛行教導隊では、T2超音速練習機を主力として配備していました。性能的にはF86とF104の中間的な性能を持っており、T2練習機は両機種のつなぎとして使用されました。

通常の空自F-15はロービジと呼ばれる灰色の制空迷彩となっておりますが、彼らの現在の乗機は「わざと目立たせる」ために赤や青などのまだらの迷彩で塗られた副座のF-15DJになっています。

その鮮烈で挑発的なカラーリングは見る者に強烈なインパクトを与えます。

米軍にも同様の部隊「アグレッサー部隊」がありこれの日本版と言えます。

なお、米軍のアグレッサー部隊を主題としたコミック作品には笠原俊夫さんの「レッズ・イン・ブルー 」があります。

戦技競技会で全国の空自飛行隊と戦う!

戦技競技会は、3自衛隊でそれぞれ行われる大規模な大会です。各隊員、各部隊がそれぞれの専門分野で能力を競い、技術を向上させ、士気を向上させるためのものです。陸自では偵察技術、射撃、持久走、調理まで様々な種目があります。空自では戦闘機による空中戦からヘリの救難までが対象になっていますが、やはり戦闘機の戦況こそが命をかけた戦いという意味においては華でしょう。ノーズアートとして描かれるキャラクターも逸品。新谷かおるや笠原俊夫など、そのスジのプロ漫画家が協力して公式のイラストを描いていました。スジが見たくてマニアが基地周辺にドッと押し掛け、熱心に撮影するほどでした。飛行教導隊は仮想敵役として毎回、選ばれた各飛行隊のパイロットと戦闘機での空中戦で勝敗を付けます。

※参考文献 『学校で教えない自衛隊』荒木肇 著/並木書房 発行

なお自衛隊におけるアグレッサー部隊、つまり仮想敵部隊については陸上自衛隊にも部隊訓練評価隊が編成されています。同部隊は敵役を演じるために特別な迷彩服を着用し、特別な迷彩を施した専用車両を運用するところは航空自衛隊の飛行教導隊と同じです。

最強の戦闘機パイロット

最強の戦闘機パイロット

4062106728 | 岩崎 貴弘 | 講談社 | 2001-11-20


記事の執筆者・著作権者 jieitaisaiyou.com


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