自衛隊の着隊後の生活

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入隊後に待つ様々な出来事と入隊直前のこと

駐屯地の柵はトゲトゲの有刺鉄線がついてて、痛い!

自衛隊に入るとどんな生活が待っているのでしょうか?以下にとても簡単に一般的な入隊直後の生活をご説明いたします。


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入隊までに運動は必要か

自衛隊広報誌MAMORによれば、自衛隊東京地方協力本部募集課募集訓練班長の鈴木3等陸佐のコメントとして以下のように掲載されていました。

自主トレとして20分くらい走ったり、腕立て伏せ、腹筋が10回くらい出来るようになったほうが良いでしょう。しかし、それよりも規則正しい生活を送るほうが大切です。体力は入隊してから自然につきますよ。

自衛隊東京地方協力本部募集課募集訓練班長 鈴木3等陸佐

なるほど。急に無理な運動をしても、体力がつくどころか体を痛めてしまっては大変です。受験時に身体検査がありますが、着隊時には再び身体検査があり、異常が見つかれば採用取り消し!となってしまうこともあります。くれぐれも体はお大事に!

いよいよ着隊日。あなたの面倒を見てくれるのは広報官から部隊の教育係へ・・・

自衛官として採用された者が、指定された駐屯地や基地へ(地本の職員に付き添われるなどして)と出頭することを着隊と呼びます。

着隊すると、今度はあなたの面倒を見る隊員は広報官から教育隊の班長(外国軍の軍曹に相当する階級の自衛官)に引き継がれます。「合格おめでとう!よく来たね!一緒にがんばろう!わからないことがあったらなんでも聞いてくれよ!」と、教育班長は新入隊員たちと一人ひとり握手を交わし、満面の笑みで迎え入れてくれます。この笑顔は数日続きます。

その後は、入隊式がありますが、新規採用されたあなたは宣誓書に署名した上で、入隊式に臨みます。この式を終えると、もうあなたの扱いはお客様ではなくなり、班長の顔から仏のような笑みは消え、ガミったうるさい鬼軍曹に豹変します。

そしてあなたはしばらく、シャバとはお別れ。自衛隊のなかで新隊員として営内生活が始まるのです。

着隊の後、入隊に際して様々な事務手続きや身体検査が行われます。

着隊日に携行する物 印鑑(シヤチハタはダメ!) 筆記具(ボールペン(黒・赤)、鉛筆(2~3本)、消しゴム、定規) 国語辞典 下着(上下(シャツは白(ワンポイント可))6セットくらい) タオル 洗面具 化粧品(女性のみ) ジャージ上下 裁縫道具 ランニングシューズ 上記のようなものが必要です。

所持金については、駐屯地内の民間売店(PX)にて身の回りのものや嗜好品等を購入する場合に必要となり、3万円から5万円程度が望ましいですが、もちろん隊員食堂での食事は無料なので食費はかかりません。教育隊によっては運動服等を一括購入する場合がありますが、支払いは給料日以降となるので、これも心配は無用。

営内生活

高校生のあなたは今まで国から未成年として手厚い保護を受けつつ、安穏と暮らしていました。あなたを襲う戸惑い、環境の変化、オラオラ節の恐怖。ママや猫ちんに会いたい・・・。

しかし、戸惑っている暇もなく、自衛官には指定された場所に居住するという義務に従い、あなたは隊員として営内生活を粛々と始めます。新隊員の場合、一般的に入隊後2~3週間で外出が可能になりますが、教育隊によっては入隊式終了後の週末に外出を許可される場合があります。

なお、平日は特別の理由がない限り許可されません。教育期間中も、やむをえない事情がある場合を除き外泊・休暇は原則として許可されませんが、ゴールデンウィークなどは一定期間の休暇(年次又は特別休暇)が用意されているので、ブラック企業とは異なります。例外として士や曹でも2曹以上であって、尚かつ30歳以上の者や地本勤務等で近くに適当な駐屯地等が無い場合(広報官など)や親の介護、妻帯者などは営外居住も可能です。営内の部屋は入隊する教育隊によって違いはありますが、入隊直後は約6~10名、部隊勤務時になると改善(!?)され、約1~4名になります。

また、部屋区分は入隊者の出身地等を考慮し、広い範囲の交流を深められるよう均等に区分されています。部隊によっては相部屋をパーテーションで仕切って、簡易的に個室にしているなどメンタル面を考慮しているところもあるようです。

このように集団での営内生活が新隊員の基本です。

一部の創作では女性と男性が新隊員教育期間中に同じ宿舎で生活しているような描写もありますが、陸海空の3自衛隊において、女性宿舎(居住エリア)は男性隊員宿舎とは別棟になっており、男子隊員の立ち入りが禁止されています。

間違って入っただけでも厳重注意を受けますし、悪意をもって侵入すれば、たちまち警務隊に身柄拘束されます。

女性隊員は、基本的に男性隊員と同じ訓練を受けて自衛官としての生活を送りますが、居住する宿舎や入浴場などは女性専用のスペースが設けられています。

また、部隊配置後も更衣室などが別々に設けられているので、安心して生活することが可能です。

 

起床・・・・らっぱの音と共に朝は元気に起きて訓練開始!

自衛隊でらっぱの鳴らない日はないでしょう。

朝はらっぱの音で目を覚まし、昼飯はらっぱの音と共に摂り、夜はらっぱの音と共に就寝する。

起床らっぱが一日の始まりを告げる。

目が覚め直ちに着替え点呼に整列、部屋に帰りベッドを綺麗に取り直し、目を覚ますため顔を洗う。

そして課業開始のらっぱが響く。

言葉に書けばそれだけですが、自衛官にとってらっぱの音色ほど感慨深いものはありません。なお、陸自ではらっぱ手の教育を修了するとらっぱのMOSが取得できます。

さあ、基本教練が待っているよ。新隊員が受けるベーシックな訓練。ハイポート&武装走

自動小銃を胸の前に掲げて走るハイポートでは、精神と肉体を鍛えるために重量3.5キロの89式をずっと胸の前に保持して走るのでとてもきつい。どんな装備を付けるかは部隊で違うけど、一般的にはケブラーヘルメット、サスペンダー、ベルトなどを含む戦闘装着セットを装着して小銃を持ち走る。

いろんな訓練

立ち番して警備する歩哨は最高です。「第一歩哨」「第二歩哨」「第三歩哨」がある。身分がわからぬ者への問いかけを「誰何」と言いますが、怪しい人がきたら「誰何」をかけます。

戦場で誰何され、名乗らなければ拘束されるし撃たれるのが通例です。

上番・下番

自衛隊で警衛に就く警衛当番の隊員が勤務につくのが上番で、勤務が終われば下番です。そこら辺の警備会社でも使ってますね。24時間勤務です。駐屯地に無理やり入ろうとする変な人、怪しい人には3度誰可しても答えない場合、捕獲します。明らかな敵の場合は実力行使します。警衛当番は89式小銃や特殊警棒を携帯してますから本当にやってしまいます。

匍匐前進 地面に腹をつけ、はらばいになって腕と足で前に進むこと。

この姿勢で鉄条網の下を潜り抜ける訓練などを自衛官は体得するのだ。頭が高いと班長に怒られるよ。

海上自衛隊の新教育名物「カッター」 海上自衛隊は海上の警備を担う自衛隊の部隊です。船だけでなく航空機も運用し、柔軟に対潜哨戒や変な船の監視、事故時の救助などを担います。海の男たるにはカッター訓練が必須。カッターは海上自衛隊で配備されている手漕ぎボートまたはその訓練のこと。新隊員や幹部候補生がカッター訓練は必ず受ける。乗員全員が息を合わせてこがないと前にすすまないので、一致団結力をやしなう訓練にはもってこい。定員は45人全長は9メートル。

5分前の精神

海上自衛官が教育において叩き込まれる心構えである。5分前には次の行動に移れるように心がけることが大切だ。ということは海上自衛官はデートの待ち合わせ時刻に遅れることはない!?

銃剣

自衛隊員にとって必修とも言える競技。

休日と台風

課業後や休日のあなたは教育期間中に貸し出される真っ青でさわやか過ぎる青虫ジャージを着て過ごします。

上に戦闘服を着る場合は戦ジャーと呼ぶ。

当然、公務員ですから週休二日制です。しかし、教育期間中は休みなどあって無いようなものでやることはいっぱい。 休日は居室と物干場(ブッカンバ)を往復するのかも。朝から縫い物、半長靴磨き(センパイの)、制服戦闘服のアイロンがけ、プレス。自衛官はとんでもなくアイロン掛けが巧い。

これをマスターするともう一人前の自衛官。そしてドアノブをピカールで磨く、ピカチュー行為も・・・。

車やバイクの持ち込みは入隊直後はできません。

概ね1年経過後に申請を出して許可を受けてからですので、新隊員のあなたに足はありませんが、新教期間中、班長に引率されて地元の繁華街を営内班のメンバーで練り歩く引率外出という嬉しい企画もあります。

一方で外出禁止という懲罰の一種も。

このような罰を受けないためにサボったり怒られるようなことは慎もう。とくに、台風には注意してください。教育隊において班長から居室内の私物から官品からベッド(!)まで滅茶苦茶にブン投げられて荒らされることを台風と呼びます。理由は「お前らの整理整頓がなってない」から。自衛隊で古くからある教育的指導として畏怖されています。訓練が終わり夕食を食べて自分たちの居室に戻るとそこには・・!

物が外にブン投げられるだけならまだいいが、ご丁寧に2段ベッドは上下が反転しているという憎い演出も。

その血も涙もない現場はまるで台風が通り過ぎたあとと形容されます。

なんか営内生活って怖くて息苦しそう・・・。

当然、自衛隊は軍隊ですので、大変な毎日が待っているでしょう。でも、駐屯地内には隊員のための娯楽施設があるので息抜きはできます。売店や食堂、ネットコーナーもあります。売店はPXと呼ばれています。隊員用の制服はもちろん、日用品から食品・CD・みやげ物、雑誌類まで、その品揃えはローソンやセイコーマート並みです。

歩幅75センチメートル

変なアニメではなく、隊員が行進するときの歩幅が75センチってことなの。駐屯地には75センチごとにラインが引かれている箇所があり、隊員は普段から75センチの歩幅で歩くように常に意識しているんです。なお、女性の場合は70センチとなります。

ベッドメイキング

自衛官が教育で叩き込まれるもののひとつに寝具の整理整頓があります。ベッドメイキングでは毛布のたたみ方ひとつまで決まっており、弛んでいたりすると前述の台風が発生します。たたまれた毛布はバームクーヘンと呼びます。バームクーヘンみたいだから。

日夕点呼

一人ひとりがいるかいないか、また異常がないか確認し上官に報告する点呼。

球技

自衛隊における体力練成の一環として球技がある。もちろん駐屯地や基地の中に球場がもけられており、そこで体力を練成する。

塵芥作業

じんかいさぎょう。駐屯地、基地内でのごみ収集作業。

不寝番

その名のとおり就寝時に眠らないで番をする係。不寝番グッズとは懐中電灯、警棒、警笛、腕章の四点。

号令調整 号令訓練

「きおつけ!」「けいれいっ!」など発声練習です。各教育課程で行われます。

舎前

つまり隊舎の前。 使用例「キミたち! 何しているの?シャゼン集合だよう」

自由時間

原則的には、課業(仕事)の時間(0800~1700)以外が自衛官の自由時間と認められている。消灯は平日は毎晩23時が消灯時間。らっぱの音と共に・・・。

武器授与式と小銃分解結合訓練

自衛官として銃の取り扱いを習熟しなければなりません。

厳格な武器授与式を終えると、小銃による動作訓練と整備と本格的な射撃訓練が始まります。

教練では陸自で89式、海空では64式を使っての訓練となります。もちろん、貸与されたからといって常に自分のロッカーに入れてるわけではありません。武器庫で一律厳重に保管されます。

執銃は基本教練の中のひとつで儀礼的な意味での小銃の取り扱い教練です。立て銃から、元へ銃まで自衛官はすべて完璧にマスターしています。教育隊では体で覚えるまで小銃を何度も分解結合します。これを小銃分解結合訓練 と呼びますが、64式小銃ですと部品点数は約150あります。150の手順を覚えていくわけです。分解中に小銃のちっちゃい部品を飛ばしちゃったりしたら大変!怒り狂った班長が飛んできて「なにしているの!遊びでやってるんじゃないんだかんね!」と怒られ、腕立て伏せ10回程度のペナルティが与えられます。

気になるメシは?

食堂は基地、駐屯地はもちろん、潜水艦や護衛艦のなかにもあります。自衛隊のメシが美味い理由は季節の料理も欠かさず出るから。

クリスマスになれば当然、チキンやケーキが出るし、正月には餅も出ます。

自衛隊はやはり素晴らしい職場です。

入隊後の生活をマンガで読もう!

自衛隊愛知地方協力本部の提供している『漫画モリヤマ!』では、着隊から入隊後の生活まで、す・べ・てわかってしまう! http://www.mod.go.jp/pco/aichi/manga1.html

実はこのページを執筆するにあたり、この漫画を参考にいたしました。見ておくと参考になりますよ。

部隊配属

部隊配属は新隊員が課程教育終了後、一般部隊へ配属されることです。配属先は本人の適正と成績と希望によって決まります。自衛隊では採用試験以外でも頻繁に面接があります。教育終了直前の希望職種調査の区隊長面接とかね。また、部隊配属後は希望すれば、定時制高校や通信制大学(スクーリングも可能)へ通うことも可能。課業後に独学する隊員は多くいます。

もちろん、自衛隊では夜学に通えます。

自衛隊では夜学に通えることが制度として確立されているので、希望すれば定時制高校や通信制大学(スクーリングも可能)へ通うことは基本的に可能です。

ただし、東京大学の大学院だけは自衛官であるだけで願書の受け付けすらしなかったこともあったと、産経新聞が報じています。

典拠元
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120429/edc12042909170001-n1.htm

東京大学と言えば、最高学府の中でも最高峰です。自衛官だからという理由で入学を拒否されるヘイトがなくなればいいですね。

これが自衛隊流成人式だ!

18歳で入隊すれば、20歳の成人式を自衛隊の中で迎えることになります。自衛隊でも20歳になる隊員を祝うため、各部隊では成人式が盛大に執り行われています。

シャバの成人式は市長のスピーチを聞いて、帰りに20歳になったら国民年金払えやというパンフレットをもらって帰るだけのつまらないものですが、陸上自衛隊札幌駐屯地では雪中ラクビーが恒例行事になっており、一般の市役所などが主催する成人式と比べ自衛隊のそれは、ダイナミックと言えるでしょう。

なお雪中ラグビーは女性隊員も参加しています。

まとめ

これが自衛隊の中の普通の生活です。


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