自衛隊の戦闘糧食I型

記事読了までの目安時間: 1257


スポンサード リンク

sentouryousyokubanner2014
さて、自衛隊の食堂のメシに続いて、自衛隊の演習で主に食べられる戦闘糧食なるものに詳しく迫ってみましょう!

いわゆる缶詰形状になった「携帯できるご飯」である戦闘糧食。現在、自衛隊では缶詰タイプの戦闘糧食I型及びレトルトタイプのII型を支給しています。

I型は、長らく自衛隊の野戦用糧食として支給されており、お味については評判が良くないモノの、kanmeshi3年という長期の保存性能に優れています。

通常は駐屯地で2年間保管され、3年目に演習などで各隊員に配給され喫食される運用がとられています。配給された戦闘糧食は各隊員が自分の責任において処理しなければなりません。持って帰れって事。

なお、これら糧食の調達にはいずれの場合も、あらかじめ師団の需品科と調整が必要となり、その調達調整に失敗すると、隠し在庫からタクアン缶ばかり配給されたりするので、隊員からとみに恐れられています。

戦闘糧食I型の特徴とメニュー

戦闘糧食I型は大型の缶が主食の飯で、小型の缶がおかずとなりますが、外装は擬装のため暗緑色(OD色)になっており、野外でも目立たないように配慮されています。

しかし、過去の資料を見ると、90年代の初頭ごろまではブリキの金属缶そのもので無塗装でした。これでは野外で目立つため、現在の様に暗緑色に仕様が変更されています。さらに缶にはゴシック体で、「赤飯」などメニューが記載されています。いかついODの金属缶からは浮いた感じがするので、ここはやはり、明朝体で威厳ありげに表記されていてほしかった。

なお、開けるためには缶切りが必要ですが、6個に一個の割合で簡易な缶切りが付属しています。しかし、隊員は私物のウェンガーやビクトリノックスの10徳ナイフの缶切りでささっと開けています。

戦闘糧食は配給の前に温められます。

温めないでそのまま食うと、あまりおいしくないどころか栄養的にも吸収されにくく、体にも悪いため湯煎するわけです。湯煎をすることで白米がα化(でんぷんの化学的変化)され、美味いうえに栄養価もマル。一度湯煎すると2,3日は常温でも真冬でも大丈夫。

缶は重箱のように「入れ子形式」になっているので、食べた後は非常にコンパクトに処理できるのも優れています。陸上自衛隊では、食べ終えた缶の数から部隊規模を敵に推測されることを防ぐ目的で、缶を土中に埋めるように教育していますが、演習ではきちんと回収されリサイクルされています。

魚紳さんも昔、缶コーヒーの缶や吸い殻を釣り場の土中に埋めて、三平君が「これぞ真の釣り人のマナーだなやー」などと感心していましたが・・・。

メニューとお味は・・・?

主食には白米、赤飯、五目飯、とり飯、しいたけ飯、そして乾パンがあります。

おかずは各種、たくあんもあります。たくあんは納入先メーカーの廃業により、一時途切れましたが、現在では新たなメーカーによって製造が続けられています。

特徴としてメニューのそのどれもが塩辛く味付けされています。味付けハンバーグ缶はとくに冷えると「すごい味」になるので絶句、いや、絶品。また、もち米を利用することで腹持ちを良くしてあり、カロリーも高めに設定されています。そのせいか、胸焼けするんだが・・・という隊員の声もあります。

 

とまあ、味付けが濃く、カロリーも高く、胸やけもしたりと、評判は決して良くないものの、たくあんだけは別格だといいます。

なお、これらカンメシの組み合わせは、陸自と海自では運用が異なっており、陸自ではカンメシの組み合わせを選ぶことができません。

戦闘糧食に入っている乾パンとクラッカーについて

さて、旧軍の頃からの軍用糧食の代名詞としては、やはり乾パンが挙げられるでしょう。一番上の写真は、オレンジ(いよかん)スプレッドのチューブとカンパン、一番左端の黒いものがレトルトタイプのII型です。カンパンも民生品と味も仕様も同じ。袋には自衛隊のマークが入っています。

カンパンはオレンジスプレッドと呼ばれるオレンジ(いよかん)味の水飴のチューブとソーセージ缶がセットになって配給され、むかしはレバーペーストのチューブもあったそう。

陸自と海自でも配給が今なお続けられており、陸自ではカンパン自体に甘味が無く、唾液の分泌を増やすためか、甘い金平糖の”おまけ”がつきます。

しかも行軍中や移動中の喫食を考慮し、小型にして口に放り込めるように配慮されているのが特徴です。

一方で、海自の乾パンはデカく、さらにカンパン自体に甘味があるのが特徴。

また、採用当初はクラッカーが主食のパックが6種あったそうですが、なぜか現在では1種類しかありません。

東日本大震災での戦闘糧食と泣ける話

2011年3月11日に発生した東日本大震災で、被災者に自衛隊が到着直後、第一に配ったのもこれら戦闘糧食でした。

その後、資材が整うと野外炊飯車で調理した温かい食事を供することが出来ましたが、陸自と空自では「被災者の前で赤飯を食うわけにはいかない」として54年前から配給が始まった「赤飯」がメニューから消えることになりました。

実は派遣された隊員らは派遣中、被災者には野外炊飯車で作った暖かい出来立ての食事を提供する一方で、自分たちはこれら戦闘糧食を食べていたそうです。

被災者の「温かい食事」をまず第一に考え、自分たちのメシの準備は後回しという姿に頭が下がる思いです。もっとも、自衛隊でも災害派遣では赤飯をなるべく使わないよう、これまでも配慮されてきたのですが、今回のように派遣規模の大きな震災では備蓄された糧食をすべて使わざるを得なかったそうです。

なお、海上自衛隊では艦艇内での食事が多いとして赤飯の廃止は見送られています。自衛隊の災害派遣を裏から支えた「戦闘糧食」。偉大なり。

「自衛隊とカップラーメン」のエピソード二つ

さて、自衛隊の演習では、超ハードな訓練中に臨時配給されるメシ、その名も増加食として、隊員に即席めんが配給されることもあります。

山で食うカップ麺は格別だとキャンパーはよく言いますが、そんな自衛隊の演習とカップラーメンの話には、少し興味深い話があります。

日清カップヌードルといえば、知らない人がいないくらいド定番カップめんですが、当初はなかなか一般に受け入れられなかったそうです。そこで日清は、1971年(昭和46年)に警察や消防など夜勤の多い職場に売り込みました。そんな中で「カップヌードルの最初の顧客」となったのが自衛隊だったそうです。

カップヌードルをめぐるエピソードとして有名なものに、例の浅間山荘事件で機動隊の食事として警視庁が購入し、機動隊員に配給した(警視庁のお金で買ったので長野県警の機動隊員にはあげなかったという)というものがありますが、自衛隊にもこんなエピソードがあるんですね。そんな自衛隊に感謝したのかどうかはわかりませんが、日清はその後、新たなカップヌードルを開発しました。それが「自衛隊向け専用商品」と日清が公言する「SDFヌードル」というもの。これは自衛隊駐屯地、基地内の売店(PX)で販売されているほか、日清公式サイト「日清e-めんshop」でも通販購入が可能。

気になる味ですが、カップヌードルより若干濃い目に仕上げられています。

また、内容量はエビなど全体的に少ないようです。しかし、何より市販品と違う部分は「バーコードがついていない」ということでしょう。なお、似たようなコンセプトのカップめんに、エースコック製の「自衛隊オリジナルラーメン・標的」という商品もあります。

参考 日清公式サイト「日清e-めんshop」
http://shop.nissinfoods.co.jp/product/search/ search.html?kw=SDF&x=0&y=0

みんなで真似よう”演習おやつセット”

「そこが変だよ!自衛隊」の著者として知られる元自衛官の大宮ひろ志氏によれば、かつて昭和の終わりから平成のはじめにかけて、コンバットレーションなるものが自衛隊の一部に存在したそうです。

その内容物は魚肉ソーセージ、パックタイプのりんごジュース、ういろう、みそパンの四種類。それらが透明のビニール袋に詰まっており、袋の表には「コンバットレーション」とカタカナで明記されていたそうです。

残念ながら陸自での戦闘糧食Ⅰ型の新規調達は打ち切られII型へ全面移行へ!

さて、この缶詰タイプの戦闘糧食I型ですが、残念なことに2016年2月に陸上自衛隊での納入が打ち切りになったとの報道がありました。今後は後継のII型に全面切り替えになるそうです。

レトルトパックタイプのII型はメニューが豊富で何より、味が良いので隊員から好評です。なお、海自と空自では今後も戦闘糧食I型を継続調達するそうです。

 

20160223-OYT1I50035-L

2016年2月、陸上自衛隊がこれまで配給してきた戦闘糧食Ⅰ型の配給を廃し、戦闘糧食II型のみに全面移行することを決めました。その理由は「かさばって持ち運びが不便なうえ、鍋などで加熱して食べるため、部隊は調理器具も運ぶ必要があったため」と読売新聞が伝えています。

読売新聞の報道

陸上自衛隊は、隊員が任務などの際に持ち歩く携行食の「戦闘糧食」を、従来の缶詰タイプからレトルトパックタイプへ全面的に切り替えることを決めた。

 

中略

これに対し、90年に登場したレトルトパックタイプは、1食分が1袋にまとまっていることや、水を加える発熱材を使うことで手軽に温めて食べられるのが特徴。空から投下しても破れるなどの問題がなかったことも実験で確認された。

2016年02月23日 18時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

引用元
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160223-OYT1T50145.html?from=ytop_main4

いつでも食べたい!自衛隊ごはん (イカロス・ムック)
イカロス出版 (2011-10-29)
売り上げランキング: 347,803

Ⅰ型は先の東日本大震災でも被災者へ支給されるなどの活躍がありました。

ただ、その一方で災害時に赤飯を出した(自衛隊としては備蓄している食料として出せるものを出さざるを得なかった)ことに憤りを覚えた被災者もいたとの報道もあります。

なお、II型でも一部のメニューには赤飯があり、継続されております。ただ、今回の報道によると航空自衛隊や海上自衛隊では今後もⅠ型が継続配給されるようです。

2gataryousyoku000034

レトルトパックタイプの戦闘糧食II型

缶詰タイプである戦闘糧食Ⅰ型は頑丈なこともさることながら、レトルトに比べて保存期間が長期間という利点もありましたが、実際に食べる隊員らにとってみれば、戦闘糧食Ⅰ型に比べてレパートリーの豊富さが魅力かもしれません。レトルトになっていくのは時代の趨勢でしょうね。

戦闘糧食の横流し問題

自衛官、「ミリメシ」盗んだ疑い ネット販売し懲戒免職

陸上自衛隊小倉駐屯地は29日、第40普通科連隊の男性陸士長(23)を懲戒免職にし、発表した。部隊の倉庫から野戦用の戦闘糧食20食分(時価約1万2千円)を盗み出し、ネットオークションで販売した窃盗の疑いで28日に警務隊に検挙された。「借金の返済や遊興費に使おうと思った」と容疑を認めているという。
同駐屯地によると、陸士長は当直勤務中だった昨年9月12日、倉庫の鍵を無断で持ち出して、レトルトのご飯とおかずがセットの戦闘糧食を盗んでネットオークションに出品し、1万円で販売した疑いがあるという。ネットを見た上級部隊から同15日に通報があり、発覚した。戦闘糧食は市販されておらず、「ミリメシ」として一部で人気があるという。

典拠元 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ3Y43D4J3YTLLS001.html

戦闘糧食を勝手に倉庫から持ち出して売りさばく・・なんて、もちろん犯罪。現在もオークションサイトでは、自衛隊のものとみられる戦闘糧食が多く出品されています。

購入者にはそれらが、正規に廃棄されたものなのか、広報で配られたものなのか、盗まれたものなのかわかりません。

ネットオークションの発達で自衛隊の配給品に金銭が絡んでくると警務隊も重い腰を上げざるを得ないでしょうね。

追記!自衛隊関連の物品約1万5000点を出品し、計約650万円売り上げた陸曹が懲戒免職!

自衛隊員が災害派遣時などに用いる保存食「戦闘糧食」をインターネットのオークションサイトに出品したなどとして、自衛隊大阪地方協力本部は15日、同本部の男性1等陸曹(46)を懲戒免職処分にした。

2009年頃から自衛隊関連の物品約1万5000点を出品し、計約650万円を得ていたという。

発表では、1等陸曹は「業務で使う」とうそをついて、少なくとも段ボール3箱分のレトルトのコメやおかずの戦闘糧食を入手し、計約1万4000円を売り上げたという。他にも、自費で買った階級章や自衛隊関連のイベントチケットなども出品しており、「売り上げは飲食代などに使った」と話しているという。

戦闘糧食の件では、陸上自衛隊中部方面警務隊(兵庫県)が昨年6月、詐欺容疑で神戸地検に書類送検。不起訴(起訴猶予)となっている。

典拠元 ライブドア
http://news.livedoor.com/article/detail/11419393/

再び発覚したカンメシ横流し事件。今度は地方協力本部勤務の広報官の陸曹です。

先日も、戦闘糧食をヤフオクに出品していた陸士長が発覚しましたが、なんとこの事件以降、ヤフオクから自衛隊のカンメシがほぼ消えてしまうという謎の現象が起きています。

残ったのは、期限切れのカンメシカンメシの空き缶の出品だけ。粛清されてしまったようですね。

なんと、ウィキペディアにはこの戦闘糧食が広報で配られているとも書きこみがされていました。
この広報官、自分の立場を悪用して戦闘糧食を入手しまくり、650万円近く売っていたようです。

それにしても、自衛隊の関連物品を大量にネットオークションに出品するという信じがたい行為は
税金の横領行為ですから、厳しい処分が下るわけですね。

記事の冒頭の写真引用元 読売新聞社ウェブサイト
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160223-OYT1T50145.html?from=ytop_main4

自衛隊の戦闘糧食I型まとめ

  1. うまくはないが、容器は頑丈である。
  2. カロリーが高めに設定されている
  3. 陸上自衛隊での配給は打ち切られた
  4. カンメシを盗んで売って自分の生活を勝手に豊かにした自衛官が懲戒免職になった!

このようにまとめました。

参考書籍
別冊ベストカー 陸自マニア! 三推社/講談社 2007年刊
そこが変だよ!自衛隊 大宮ひろ志

なお、戦闘糧食II型については、こちらで解説しています。
戦闘糧食II型


スポンサード リンク

あわせて読みたい