自衛官に階級が必要なんは序列を明確化して命令系統を明瞭にするためなんです

自衛隊において階級を定める目的は、序列を明確化して軍事組織としての命令系統を守るためです。

階級制度は部隊の統制に大変重要なものですから、予備自衛官補を除いて階級を持たない自衛官はいません。一方、自衛官以外の自衛隊員(事務・技官、教官、など)にも自衛官のような階級はありません。

階級が上がるごとに俸給もアップします。

軍事組織であり、階級が存在する以上は諸外国軍同様に上官には必ず敬礼しなければなりません。それを怠ると懲戒処分の対象にもなってしまいます。勤務評定でペケがつくとボーナスも下がっちゃいます。

面白い話としては海上自衛隊の艦内だけは狭い通路で上官とすれ違う際、敬礼よりも道を上官に譲ることが優先されるのでその際は結果的に欠礼になっても咎められないそうです。

この敬礼自体にも種類があって、帽子を被っているときは所謂、挙手の敬礼で、無帽時はおじぎの敬礼です。

警察も自衛隊と同じです。婦人警官(し語)が無帽時にドヤ顔で挙手の敬礼をするという間抜けな刑事ドラマが良くあります。

階級章

階級を表すワッペンやバッジが階級章です。陸海空、曹士や幹部でデザインと装着位置が異なっています。階級章についている桜のマークを桜星といいます。

当然、階級が上の隊員には敬礼を行いますが、上官に対して敬礼を怠ることを「欠礼」と言います。

意図的、過失に関わらずとても怒られ、場合によっては外出禁止になる懲罰を受けることもあります。このように厳格なる階級制度が敷かれているのが自衛隊です。

こんな階級社会ですから無論、士が幹部の階級章をつけて外で調子こいて歩いたりなどすることは許されません。階級詐称となり、重大な服務規程違反行為です。

階級の種類

世界の軍隊では大尉、大佐、軍曹などと呼称するのが主流ですが、やはりそこは軍隊ではなく自衛隊なので独自の呼称を使うように配慮されています。

自衛隊の階級は一番上から下記のように区分けされています。「将」は最も偉い自衛隊の階級で諸外国軍の「将軍」に該当します。アメリカ軍では准将から大将、元帥までいますが、将の上には幕僚長や統合幕僚長がいますが、これらは将の階級の自衛官が就く役職であり、階級ではありません。

お次は「将補」です。陸将補・海将補・空将補があります。その次が「佐」です。佐官である幹部自衛官です。次が「尉」です。3尉から1尉までを指しますが、准尉は含まれません。3尉から上がいわゆる幹部自衛官です。次が「准尉」。准尉は幹部(尉官)でもなく、曹でもない階級。ただし、海上自衛隊のみ特殊で、准海尉も幹部自衛官に含まれます。准尉は自衛隊の中で比較的近年つくられた階級で、現場のたたき上げ隊員がつく階級です。

そして「曹長」 です。曹の中で最上級の階級。こちらも1980年に制定された階級で自衛隊の歴史の中でも新しい階級です。次が「 曹」です。 いわゆる軍曹で下士官に相当する自衛官です。陸では日本各地にある陸曹を教育する部隊で教育を受けますが、なんと変なあだ名までついているところもあります。それは「山走狂」こと静岡県板妻にある第3陸曹教育隊。

曹になり4年以降は試験により、幹部になることができます。次が「士」です。 一等および二等陸海空士、さらに陸海空士長があります。

かつては「三士」という、自衛隊に存在した自衛隊生徒(現在の高等工科学校生徒)に与えられた階級もありましたが、日本政府が自衛隊生徒そのものを廃止し、3士という階級も消滅しています。

なお現在の「陸上自衛隊高等工科学校」の生徒は自衛官ではないため、階級はありません。そして海自と空自からは生徒制度は消えました。

複雑な階級システムですが、このような階級社会となっているのが自衛隊という組織です。

面白い話としては、小林という自衛官が一佐に昇任したら「小林一佐(いっさ)」になって(自衛隊の階級を知らない一般人が聞けば)小林一茶を連想してしまう……というジョークや「佐藤三佐」を呼ぶときに「佐藤さんさー」と聞こえてしまって不謹慎だ、という話が井上和彦さんの「国防の真実 こんなに強い自衛隊」にて紹介されています。

学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常 (中公新書)